ホンモノ

先日、と言いましても結構前の話になりますが、報道ステーションでイチローと野球解説者 稲葉(元日本ハム)の対談が放送されました。
同じ愛知県出身で、高校時代からお互いの存在を知っていた(有名選手であったということです)という仲だけあって、ざっくばらんな対談でした。

その中でイチローが非常に興味深い話をしていました。
内容は、こんなもので、一つは「若いうちにたたかれてた方がいいですよね・・・」言葉尻だけを取り、最近の傾向を当てはめてしまうとパワハラや行き過ぎた指導ということにもなりかねない話ですが、おそらくこういうことではないかと僕は感じました。
ちょっと上手いからといって天狗になっていると結局はそれ以上は伸びず、大成はしない。或いは理不尽と思えるような上下関係があった経験も、ある意味今の成功の糧となっている。

もう一つは、「遠回り(練習等で)をすることのよさ・・・」
イチローは、自己の練習の中で、もの凄く時間を費やして行うものがあるそうです。一見無駄に見えるようなことでも、あとから気付くよさがあるというもので、”遠回りのよさ・無駄の必要性”を語っていました。
僕たちの仕事にとって、効率化はとても重要なもので、実際僕の持論は「無理に苦労をする必要はない・楽に出来ることは楽にしていい」という一見イチローとは異なるものなのですが、その考えの根底は”組織の進化”というものがあるからです。
組織が成長していく過程においては、さまざまな失敗や試行錯誤があり、何らかの基準やシステムが出来上がっていく。故にわざわざ同じ過ちを繰り返す必要はないということなのですが、「情報過多の時代、短縮することが全てではない」と教えてくれたようでした。

実は僕自身もイチローレベルとは言いませんが、同様の経験をした事があります。僕は賃金や人事制度といった仕事を得意分野としていますが、これを学校や研修期間を通して正式に学んだことはなく、故高橋先生から推薦された2冊の本(その後、いろいろと参考にするものはありますが)とOJTにより仕事を身につけていきました。
仕事を始めた当時、それこそ試行錯誤をしながら案件をこなしていっている時期のある時、自分自身にとって画期的なアイデア(考え方)にたどり着いたことがあります。まさに自画自賛の瞬間だったのですが、それからまもなく何かの参考文献でほぼ似たような理論が存在することがわかりました。
その時の僕の感情は、失望よりも嬉しいというものでした。この仕事は法律がバックボーンにあるようなものではないので、正解がありません。その中でたどり着いた一つの結論が、この業界においては優秀なセオリーの一つであると知ったときは、達成感さえ覚えたものです。
つまり簡単に答えや手法だけ教えてもらったり、情報を仕入れておけばよいものもあるが、避けてはいけないものがある。自分で手掛けなければならないもの(身に付かないもの)があるということなのではないかと思うのです。

またこのような話もありました。「失敗やミスの中から学ぶものが多い」「例えノーミスで行きつけたとしても深みがない・・・」「野球選手という作品が出来ただけ」
”深みがない””野球選手という作品”とても面白い表現です。
でもよく分かります!プロ野球選手などは、プロフェッショナルの典型ですが、仕事をしている多くの人間に言えることではないかと思いました。
考えてみれば、僕たちだって人事や労務の専門家(言わばプロ)と言ってもいいわけで、そういう意味では、同じように失敗やミスをおそれ、今以上のことをしないとか、ややこしい事や苦手な事は回避する。また情報等も無料で得ることも出来れば、専門家を相手にした有料サービス等も存在し、簡単に手に入れることが出来ます。これらで武装し、格好つけ、お客さんの前で偉そうにふるまっても中身がなければ何にもありません。
そこに”深み”はない(僕らの業界で言えば、口先だけ・形だけ)ということでしょうか。

苦労や失敗をし、時には注意され(アホな上司は反面教師にすればいいだけです)、腹を立てながらも己の過ちには素直に反省をする。これらを自らに課して出来る人が、本当のプロ中のプロになるのでしょう。
”イチローのように”というわけにはいきませんが、弊社も”深み”のある集団になりたいものです。 (敬称略)

橋本

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